給食費未納が社会的な問題になっており、NHK受信料や年金未納問題と同様に話題になることがあります。
そこで疑問になるのが、児童手当とかをばらまくのではなく、どうして給食費が無償化されないのでしょうか?
1. 給食費無償化を導入した自治体
「どうして給食費が無料にならないのか?」という疑問が湧いたので調べるうちに、122もの自治体が給食費補助をしていることが判明しました。
例えば、京都府伊根町では、2015年度から、小中学校の給食費・修学旅行費・ドリルなどの教材費を所得に関わらずに無料にしているそうです。
毎日新聞: 義務教育無償、広がる動き 122自治体が給食費補助http://mainichi.jp/articles/20160222/ddm/013/100/055000c
約4年前のある調査では、給食費の補助制度がある自治体は全国で122に上り、修学旅行費や授業で使う補助教材費まで全額肩代わりして義務教育費の「完全無償化」をうたう事例もあった。
「子どもの食べる食費ぐらい親が出すべき」とか、「所得の高い人の給食費まで税金で払うのか?」とかのご意見があるのは分かるのですが、児童手当は所得制限の世帯も特例で月々5,000円もらえているので、児童手当を5,000円減額して(所得の高い世帯はゼロ)、給食費を無料にするというのではどうしてダメなのかについて、残念ながら答えを見つけることはできませんでした。
2. 給食費の未納問題
給食費の未納が問題になったニュースを聞くたびに、学校で肩身の狭さを感じる子供の心が心配になります。
朝日新聞:「給食停止、やり過ぎか 埼玉・北本市「未納なら弁当を」」
http://www.asahi.com/articles/ASH714SFLH71UTNB00P.html
学校給食費の未納が3カ月間続いたら、7月から給食の提供を停止します。その間は弁当を持参させてください――。埼玉県北本市の中学校が6月、保護者に通知を出したところ該当する43人全員が納付するか、納める意思を示した。学校のやり方に「ほかの家庭は払っているのだから当然だ」という声があがる一方で、「親の責任を子どもにおしつけるのはやり過ぎだ」との声もあがる。
未納の家庭に担任教諭が訪問し、生活が苦しければ給食費などが支給される就学援助の仕組みを説明したり、「一部だけでも納めて」と求めたりしてきたけれども、それでも応じない未納の43人は、「払えるのに払わない」と判断して、この処置になったそうです。
学校の先生方はただでさえ、仕事がハードなのに、給食費の回収までやらされるなんて可哀想・・・・
親の怠慢が原因ならこのような処置も仕方ないですが、もし本当に支払いが厳しい場合、年頃の子どもが一人だけ給食費未納のためお弁当というのはかなり可哀想すぎます。いじめに発展する可能性もあるのではと心配になります。
3. クロヨン(9・6・4)とトーゴーサン(10・5・3)
いきなり視点が変わるのですが、クロヨンとかトーゴーサンという用語を聞いたことはありますか?
私は大学時代の税金の授業で初めて聞き、かなりビックリした記憶があります。
これは、本来課税対象とされるべき所得の内、税務署がどの程度の割合で所得を把握しているか、所得の捕捉率を示します。
この捕捉率は業種によって異なり、
- 給与所得者:約9割(約10割)
- 自営業者:約6割(約5割)
- 農業、林業、水産業従事者:約4割(約3割)
であると言われています。この9割・6割・4割を指して「クロヨン」と呼びます。
捕捉率には「9・6・4」よりも差があるという説もあり、こちらの場合、「トーゴーサン(10・5・3)」と呼ばれます。
サラリーマンが源泉徴収で税金や年金を支払うのに対し、自営業者はいろいろなものを経費として処理できる上、自分で申告して払わなければならない(天引きされない)ので、サラリーマンより税金の支払率が低いようです。
私達人間の心理として、一旦手にしたお金の中から、自ら行動してお金を払うのには抵抗ありますよね?
サラリーマンのように、給与天引されていると、時々給与明細書を、見てあまりの引かれ方に腹がたちますが、支払わないという選択肢が見つからないから、黙って支払っていますよね。
これと一緒で、一旦「児童手当」というお金をもらってしまうと、そこから給食費 4,000円とか支払うのがもったいなく感じてしまい、支払えるけど支払わないという一部の親が出てくるというのも容易に想像がつきます。
政府もようやく重い腰をあげて、未納があった場合に保護者の申し出がなくても児童手当から強制的に天引きする仕組みを2016年の通常国会で検討するようです。
日本経済新聞: 給食費、未納なら児童手当から天引き 政府・自民検討
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS27H11_X10C15A8EA2000/
政府・自民党は公立小・中学校の給食費について、未納があった場合に保護者の申し出がなくても児童手当から強制的に天引きする仕組みを検討する。
まぁ、これが認められるようになると、支払い能力があるのに支払わない親に対応しなければならない先生方のご苦労が少しは解消され、支払わないのが黙認されるという不公平感も解消される!?
でも、なぜ一旦児童手当という形式で支払ってから、給食費を徴収するのか?? 素人の私にはよく分かりませんでした。